なんでもない町

偶然、様々な市町村が発行する観光パンフレットを見る機会が

ありました。

 

青く透き通った海に、しっとりとした空気が伝わってくるような

深い緑の森。

風情のある町並み、陰影の濃い山のお寺と仏像。

そして心ときめくご当地グルメと、「インスタ映え」必至の

愛らしいお土産の数々!

行く予定もないのに見入ってしまい、最初は面白かったのです。

でも、しばらくして何か違和感を感じるようになりました。

 

なんだか、どのパンフレットも同じに見えるなあ。

 

 

作品名や作者名がどうしてもわからないのですが、

たくさんの観光パンフレットに掲載されているデータを分析、

チャート化した、現代アートの作品を見たことがあります。

 

海、水着の女性、豪華な食事、美しい緑、

風光明媚、山紫水明、非日常的光景。。。

多くのパンフレットには、ほとんど共通のイメージが繰り返し現れます。

その土地が他と比べてどんなにすてきか、価値があるかを訴えようとした結果、

かえって画一的な情報しか発信できなくなってしまう、というパラドクスを、

見事についた作品なのでした。

 

やっぱり、行ってみなければわからないということ。

実際にその土地を訪れることがあるのなら、写真には写されない、

「なんでもない」ことこそ感じ取ってみたいな、と思いました。