奇術師

シルクハットのお兄さんは、銀の輪っかを3つ持って、

かつーん、かつーんと合わせたり、重ねたり。

紫色の細い布を指でつまみ上げ、輪っかに軽く巻き付ける

ようにします。

 

バラバラだったはずの輪っかが、あら不思議。

気づけば、いつの間にか繋がっているではありませんか。

 

初詣に並ぶ人たちが、横目でそちらを見ています。

気の毒なのは、興味を持ちそうな子どもが少なかったことと、

北風が強い日だったこと。

 

風にあおられ、輪に巻きつけた紫の布がむけて、ひらひら

泳ぎ出します。

それを見て、焦るお兄さん。

「ああー!だめですね、風が強いので、できません!」

 

 

なるほど。

風が強いと、奇術師はできないんですね。

今年最初の発見でした。

 

本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。