フォトジェニック

自動車の免許を取ってから、今日まで一度も運転をして

いません。

だから、もちろん無事故・無違反ということになっています。

ペーパードライバーとしては、更新は毎度微妙な心境です。

 

新しい免許証の写真を見ます。

真正面から捉えた自分の顔というのは、妙な感じ。

普段見慣れている鏡の中の顔は、左右が反転していますから、

こちらが本来の姿なのだと言われれば、そうかもしれません。

だけど、やっぱり違うという気もします。

 

人は笑ったり、泣いたり、怒ったりしますし、顔色とか、

首の傾きとか、もっと細かな移ろいを繰り返して、表情を

作っています。

しかも、その顔を普段わたしたちは色々な角度から見るのです。

じっとしているように見えて、人の顔は絶えず動いています。

 

こう考えると、人の顔の印象というのは、目鼻の位置や大きさでは

なくて、むしろ動かし方の癖にあるのではないでしょうか。

証明写真は、この動きを極端に抑制して撮影するので、

どこか変な写真が出来上がるのです。

 

免許センターでの写真撮影は、驚くほどスピーディーです。

ちょっと鏡を覗こうかと思う間もなく、椅子に座らされ、

ばしっとシャッターが切られます。

写真の「違和感」を差し込む余地もなく、実際に免許証に

載るまで、確認ができません。

この有無を言わせぬシステムは、理にかなっているのですね。