インクの緒

数ヶ月前、文房具屋で一目惚れしてLAMYの万年筆を購入しました。

今までほとんど万年筆を使ったことがなかったのですが、そのメンテナンスの

手間も含めて気に入っています。

使い捨てのボールペンにはない面倒臭さ、人間臭さがあるというのか。

 

最初に入っていた青いインクのカートリッジが切れたので、違う色のインクを

補充することにしました。今度の色は、青みがかったきれいな緑。

色を変える前に、水を張った容器にペン先をつけて洗浄しなければいけません。

 

一晩そのままにして、翌朝容器を見てみると、水の色はほとんど変わらず澄んでいました。

もう洗わなくて大丈夫かと思い、底に沈んだペン先を引き上げようとしたその途端、

水の中にぶわーと青いインクの帯が一気に流れ出したので、びっくりしました。

ペン先を揺すると、出るわ出るわ。

こんなにインクが残っていたのかというくらい、水は青く染まっていきました。

隠し持っていたものが、何かをきっかけに噴出してしまったような感じで、なんだか

いたたまれない気持ちになりました。

 

結局、糸のように細くなりながらも青いインクは一向になくなる気配がありません。

最終的に、緑に青が少し混ざったって大してかわりないだろうと見切りをつけて、

洗うのをやめました。

 

今は緑のインクを補充して、毎日立派に働いてくれています。

 

持ち歩いてノートとかメモとか、気軽に使っています。