地下鉄は空気が籠るので、何となく気だるい雰囲気が漂います。
白い照明の下で人々の顔は血色が悪く、座っているサラリーマンは余計に疲れて見えます。
ドアが開いて、ひとりの女の人が入ってきました。
一瞬、風が入ってきたように思って、わたしはそちらを見ました。
全体に黒っぽい服装をした、姿勢の良い人でした。
派手な格好をしているわけでもないのに、なぜか目をひく人でした。
女の人は扉の近くの手すりにつかまって、まっすぐ立っていました。
どよんとした車内の空気が、その人の直線的な立ち姿のおかげでぱりっと引き締まったように見えたのでした。
ふと、彼女の耳のところが気になりました。黄緑色の、細長いピアスをしていました。
わたしは、あっと声を出しそうになりました。
それは長ネギでした。
女の人は、次の駅で降りていきました。
以上、わたしが遭遇した「電車内ちょっと不思議体験」でした。
休日の電車では、平日とはまた違った発見があるかもしれません。
良い連休をお過ごしください。
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